今年は4年に一度、オリンピックイヤーに開催される
武蔵野市国際オルガンコンクールの年。









この春にフランスのパリ、アメリカのボストン、そして豊田市の3カ所で予選が行われ、
出場権を獲得した9カ国18名のオルガニストたちが9月に武蔵野に集まった。
そのプレ・イベントで演奏したり、出場者たちのアシスタントをしたり、
各国から来日した審査員のコンサートのアテンド、アシスタントをしたり、と
私も先月はコンクール一色。
街のあちこちにはコンクールのポスターが見られる。
三鷹駅前ロータリー

武蔵野市民文化会館のオルガン
デンマーク マルクーセン社1984年制作
(ただいまチェンバロコンサートのリハーサル中)

このオルガンには前面のパイプケースにシャッターが付いていて、
演奏中開閉するのを実際に見ることが出来る。
これは全開の状態。

音を小さくしたい時は足下のペダルで操作して閉める。
鳩が「こんにちは」と出てきそう。

ホールの照明。
ぐるぐる

出場者はそれぞれリハーサル時間をもらって決めた音色を、
内蔵されたコンピューターに記憶させる。
オルガンの場合演奏はもちろんのこと、レジストレーション(音色の組み合わせ)も
審査の対象となるので、音を決めるのは重要な作業。
演奏している場所と客席では音のバランスが全く違って聞こえるので、
出場者本人が客席に立ち、我々アシスタントが弾いて、
「あのストップを引っ込めて、こっちを出してみて」
なんていうことを繰り返す。
こうして決めた音色を、このオルガンの場合フロッピーに読み込ませ(Save)、
演奏する時は呼び出す(Load)、というシステム。
ボタンを押し間違えると、時間をかけて決めた何百通りもの音色が
一瞬にして消えてしまう。
ひいぃ〜っ。恐ろしすぎます。
注意深く、念には念を押して指差し確認。

このコンクールはコンサート形式で、一般公開されていた。
今回の一次、二次予選は審査の公正を期すために、
審査員席だけは厳重についたてで囲まれて、演奏者が見えないようにしてあった。
ある審査員の先生は、「僕たち檻の中の動物だよわっはっは。」と笑っていた。
なるべく良い状態で演奏できるよう、
開演直前、ぎりぎりまで調律が行われる。
落ちないでね。

私が担当したのは一次予選で3人、二次予選で2人、本選で1人。
出場者は当然のことながら、みなそれぞれに気合いが入っているし、
緊張もしている。
彼らの邪魔にならないよう、負担をかけないよう、呼吸を合わせられるよう、
細心の注意を払って臨んだ、こちらも緊張感たっぷりの日々だった。
日程が長いので、結構なハードスケジュール。
出場者はコマが進むにつれ、とにもかくにも体力勝負だ。
彼らが真摯にオルガンに向き合う様子には、本当に頭が下がる思いだった。
心からがんばれ!と応援したい気持ちになってくる。
残念ながら次に進めない人もでてくるが、
「ちょっとぉ、順番なんかつけないでよね」なんて言いたくなってくる。
これがコンクールだということも忘れて。
「へえっこのアイディアもらった!」というような
音を決めるときのマル秘レシピを知ることが出来たり、
ものすごい!演奏の瞬間に立ち会えたりしたことはかけがえのない体験になった。
世界各国の若き才能あるオルガニストたちと友達になれたこともね。
本選に残った5人の出場者たち。
演奏終了後、力を出し切ったいい笑顔です。

ところで楽譜に音色の指示を書き込むとき、
よく付箋(post itっていうあれです)を使う。
多くの出場者が羨ましがったのが、これ。

これを探し求めて2時間も
吉祥寺の街を歩き回ったけど、見つからなかったよ...
と肩を落としてリハーサルに現れる人まで。
お土産に持たせましたよ。
付箋だと糊のついていないところは
切り取らなければならないが、
これは全面に糊がついているので、
ゴミが出ない。
エコです。
かゆいところに手が届く、
日本が誇れる文房具。




コメントする