日に日に空が高くなって秋の気配が気持ちの良いこのごろですが、
もう少し春の旅の話を続けます。









フランス、アルザス地方カイゼスベルク村の聖十字架教会のオルガニスト、
ジャン・フランソワ氏にも約10年ぶりの再会。
3月下旬とはいえ、教会の中は外の気温に比べてかなり寒いのに、
さあ、オルガンを好きなだけ弾きなさい、
もっと弾け〜、次は?もうないの?と2時間くらい付き合ってくれた。
あの音はどうだ?、この曲にはこっちの音がいいんじゃないか、と
弾いている横で譜めくりやらアシスタントまで、
始終にこにこ顔で世話を焼いてくれるジャン・フランソワ。
弾いている最中は身体を動かしているのと
古いパイプの音の美しさにアドレナリン急上昇で
全く寒さを感じなかったが、
さあ、そろそろ止めようか、と思った瞬間、
急に手はかじかんで、冷たい鼻水がたらり。
彼はこの間じっとしているだけ、さぞかし寒かったに違いない。
アルザス欧州日本研究所の純子さんと、ジャン・フランソワ。
純子さんはこの教会で聖歌隊として歌っていたこともあるそうだ。

たっぷりオルガンの音色を堪能したあとは、
村で一番というこんなかわいらしいレストランに連れて行ってくれた。
純子さんはお仕事のために来られず...残念。

アルザスの名物料理、シュークルート。
これを食べずして帰れますか?

塩漬けのキャベツ、シュークルート(ドイツ語ではザウワークラウト)が
たっぷりと、ジャガイモ、タマネギ、ソーセージ、骨付きハム、
塩漬け豚などを煮込んであるシンプルな一品。
アルザスワインと一緒に。
しかしものすごいボリュームだ。
写真では見えないけれど、
ソーセージやハムの下には山のようなシュークルートが隠れている。
ジャン・フランソワはたくさんは食べないので、
私がこの4分の3を食べた計算に。
それにしてもうまい〜〜〜っ!!。
教会ですっかり冷えきった身体も、芯から温まった。
ご・き・げ・ん

ちょっとよっぱらっちゃったなぁ。
心臓の薬を飲んでいるという彼、お酒は普段は飲まないけど
今日は特別な日だからって。
だ、だいじょぶかしら?

お店の人に、得意げに「この子は世界中で活躍しているオルガニストなんだ。」
と紹介してくれる。
あのぅ、それはいくらなんでも言い過ぎじゃ。
彼は英語を話さないし、
学生の頃たしか一年間ほどお茶の水のアテネフランセに通ったはずの私は
クラスで落ちこぼれ、しかられてばかりだったゆえに、
いまや完全にフランス語を忘れて、2人の共通言語は...ない。
それでも彼の片言の英語、私のむちゃくちゃなフランス語と、
しまいには紙と鉛筆、身体全体も駆使して、2時間くらい楽しくおしゃべり。
この辺りの歴史的なオルガンのこと、
私が10年前に南ドイツコンスタンツという湖のほとりの
美しい街の教会のコンサートで弾かせてもらったことを覚えていてくれて、
彼が若い頃同じ場所に兵役に行ったことを話してくれたり、
ママンは元気か?と当時一緒に来た母を気遣ってくれたり。
お話の中で、今日まで50年間毎日曜日、
一度も休まずにあのオルガンをミサで弾き続けている、
「セ・ラヴィ(それが人生さ!)」と
とても誇らしげに教えてくれたことが強く強く印象に残っている。
なんだかわからないけど、うっかり涙ぐんでしまいそうだった。
ところでこのときに、東京都の人口を聞かれたが、
こういうことに無頓着な私はまったく答えられず恥ずかしい思いをした。
海外ではよくこういう質問をされるので今度こそ、と今ちょっと調べてみたら
1300万人ですって?!
この狭い土地に。
そして、夢にまで出て来る忘れられない美味しさ、
メレンゲを焼いたものがカスタードソースに
浮かんでいるこのデザート。
口に入れた瞬間、さっと溶ける感じがたまらない。
どなたかこの食べ物の名前を知りませんか?

「もう一泊できないの?だめなら、ドイツにいってもう一度戻っておいでよ、
コルマールにはアンドレア・ジルバーマン製作の名器があるんだよ。
ストラスブールにも良いオルガンがいっぱいあるから
連れて行って弾かせてあげたいんだ。」
ええ、ええ、ものすごく行きたいですとも。
でも、ドイツの後はイタリアにも行くことになっているんです。
必ず来年ゆっくり来ることを約束して、
泣く泣くここを去ることに。
笑えるほどそっくりの息子さんの運転でコルマールの駅まで送ってくれる。

コルマール駅

2人はホームで電車が去るまで
見送ってくれた。
10年前ふらりと立ち寄って
たった一度1時間くらい
会っただけの私に
なぜこんなに優しく、
再会を喜んでくれたのだろうか。
またすぐに来るからね!
それまで元気でいてね、ジャン・フランソワ。
ドイツ、シュトゥットガルトに向かうTGVの中
頭の中はウルルン滞在記のあの音楽がエンドレスで流れていた。























































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