オルガンのこと: 2008年9月アーカイブ

ランチタイムコンサートの本番当日リハーサルは、通常11時ごろから行われる。
8月の出演者の坂戸真美さんが、この日のプログラムのメイン、
バッハのプレリュードとフーガ イ短調から練習を始められた瞬間に、
ハプニングは起こった。
イ短調というのは「ラ」の音から始まる音階のこと。
曲の出だし、「ラドラミラドラ」を弾き始めたら、その一番肝心な「ラ」の音が、
鳴りっぱなしになってしまった。

オルガンは繊細な楽器なので、こういうことは時々おこる。
音の鳴りっぱなしは、割と頻繁におこるトラブルの一つ。
原因が鍵盤にあるのか、それともパイプと風箱の間にある弁にあるのか、
特定するのがなかなか難しい。

鳴りっぱなしのままでコンサートを始めることは、当然できない。

コンサート開始まであと1時間。
とりあえず技術者の方に電話。
繋がらない。

...さて、どうしよう。
どきどきして、足がふるえてきた。

落ち着け、私よ。

まずは演奏台の裏側にまわって、中を見てみようと扉を開けてみる。
そこで折り返し、技術者から電話が入った。

...助かった。

今の状況を説明すると、その方いわく
「この症状からいくと、おそらく原因は鍵盤にありますね。
演奏台の裏にまわって扉を開けてもらえますか?」

私「ちょうどいま開けたところです。」

技「それぞれの鍵盤の根元に細いひげみたいなのが2本ないですか?
それが電気の接点なんだけど。」

暗くて見えないので懐中電灯で照らしてもらう。
いつの間にか写真に撮られていた。
ものすごい形相が写っていなくてよかったよ。

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私「ひげ、ひげ、ひげ...これかな?」

技「そのひげが鍵盤にくっいちゃってないですか?
  となりのものと比べてみて。」

私「う〜ん、あっ、そう見えるかも。」

技「それを先の細いものかなにかで鍵盤から離してみて」

そばにあった鉛筆でやってみる。

私「あのう、触るとぴかっと火花が出るんですけど」
技「電源切って〜〜〜!!!」

そりゃそうだ...

電源を切って、もう一度やり直し。
鉛筆の先っぽで、そおっとおひげを鍵盤から離す。

改めて電源を入れ、おそるおそる問題のラを弾いてみる。

......直った!ばんざい!!!


ごめんなさい真美さん、貴重な練習時間を割いてしまって。

そんなことはものともせず、コンサートでは
パリで勉強した真美さんお得意のフランスのシンフォニックな曲からバッハまで、
明るくて天真爛漫な人柄そのものの音を、本堂に響き渡らせてくださった。
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真美さんの演奏はオルガンを弾いているのが、本当に楽しくて楽しくて
仕方がないという気持ちが、身体から音になってそのまま伝わってくる。


夏休み終盤だからか、こどもたちのすがたもちらほら。
うれしいお客さま。
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終演後には楽器の説明会も聞いて、質問なんかもしてくれて、
最後にはオルガンをちょこっと弾いてみて、大喜びで帰っていった。



今月のランチタイムコンサートは、明日9月26日(金)
オルガニスト早川幸子さんと、オーボエ奏者市川鉄也さんの演奏です。
ぜひおいで下さい!
曲目
G.フレスコバルディ:トッカータ 第5番 
J.G.ラインベルガー: ラプソディー 他


10月からのチラシも、すっかり秋らしい色合いで平井さんが作ってくれました。→こちら
チラシ案をメールで添付しておくってくれた時の件名が、「もう秋を感じる平井です。南無」
このひとも、面白すぎます。









8月は多くの時間をみなとみらいのルーシーと一緒に過ごした。

まずは「夏休みオルガンわくわく大作戦2008」
オルガンを弾いてみたり、裏側を探検したり、オルガンの仕組みについて
勉強したりする、こどものためのワークショップ。
毎年歴代インターン修了生も集まってお手伝いする。


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我らがボス!であり、師匠であり、時にはみんなのお姉さん的存在の、
ホールオルガニスト、三浦はつみさん(前列左)と一緒に。
はつみさんのお家の方面には、けっして足を向けて寝られないほどお世話になっている。
(...と思っているオルガニストはいったいどれくらいいるだろう?)
本願寺ランチタイムコンサートの担当者成田さんは、
「出演者のプロフィール、ほとんどの方が三浦はつみさんに師事と書いてありますね。
すごい方なんですか?」
と言っていましたが、こんなかわいらしいひとでした。
そのお隣のナイスなヘアースタイルの男性は、
「はつみ先生&ともともの『パイプオルガンとがらくた楽器コンサート』」で
最高のパフォーマンスを披露してくださったともともさん。


子供たちははじめて触るオルガンに、目を輝かせている。
わぁっ大きいなあ。


















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ドキドキしながら最初はおそるおそる。






















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ただいまオルガンの中を探検中。
このなかから未来のオルガニストが
誕生するかもしれない。





















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オルガンの仕組みについての
説明




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手作りの小型オルガン
(これもれっきとしたパイプオルガン)
を弾いてみる。
にこにこ顔のお姉さんは
私と1年間一緒にこのホールで勉強した
インターン第2期生の小高園里子さん。

このひともB型だからか、
お互いにまったく気を使わなくても良い。
あんなこともこんなことも
知られちゃってるからかしら。
うふふふ。










みなとみらいホールでは、毎月一回(原則第4水曜日)12:10から
「オルガン1ドルコンサート」が 行われる。
入場料はなんと1ドル、または100円!

今年度は「ルーシーと巡る世界の旅」をテーマに、毎月いろんな国を訪ねる。

8月は「スペイン」をテーマに私が弾かせてもらった。
昨年末はつみさんから「弥寧子さんはスペインでお願いします。」
と言われ、「ひゃースペイン?一回しか行ったことないし、レパートリーもないよ」と
慌ててこの春に改めてスペインに行ったのはほかでもない、このコンサートのため。
おかげでスペインの音楽にどっぷり浸かる時間を与えられ、
より深く知りたいと思うようになった。

はつみさんは、いつもその後の大事なきっかけになる何かをそっと投げてくれる。

前回出演したのは4年前、インターン修了時に2人ソロと連弾を演奏させてもらった。
演奏はもちろん曲間のおはなしからお辞儀にいたるまで、何度も何度も練習して、
ホールのスタッフやはつみさんに聞いてもらった。
1500人以上の聴衆を前にして、緊張でくらくらしたなあ。

今回は園里子さんなしでひとりだよ、と思うと
あいかわらずかなりの緊張感が...

こういうコンサートでは、いらしてくださった方があきることのないように
プログラムの内容や、時には演出をよくよく考える必要がある。
曲はスペインに行ったときにはもちろん、いろんな人にアイディアをかりて
かなりの時間をかけて探した。

それから今回は舞台さんに頼み込んで、
演奏中にスペインで撮ってきた写真をスクリーンに映し出してもらった。
照明さんは、本番が始まるぎりぎりの時間までいろんな明かりを
工夫して作ってくださった。




そんなわけで8月はルーシーとずいぶんゆっくりとお話ができた。
ほんの10才の彼女に助けられるのはいつも私のほうだ。
いつか彼女の魅力を余すところなくひきだして弾けるようになりたい。



横浜みなとみらいホールには、

今年で満10歳になるルーシーという名前のアメリカ生まれの女の子がいる。

この女の子、年は若いけれど体は大きい。

なんてったってパイプが4623本も詰まってるんだから。


              アメリカ C.B.Fisk社 1998年制作

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どう?素敵でしょ。

並んでいるパイプにそれぞれある歌口部分が、カモメの飛んでいる様子を表している。

ここは港町横浜だからね。


そういえば築地本願寺のあの子はなんて名前だろう。

日本のお寺だし、「花子」ってところか。

ふ~む。


前面のパイプ

けっこうでかいっす                     足鍵盤

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                   木製のパイプ 

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                       鍵盤とパイプについている弁を繋ぐシステム 


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音色だって60種類以上                         
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       この太いパイプには歴代演奏者のサインがある

           

※このかっこいい写真は、建築家の友達が撮ってくれたものです。

構図と光って大事なんだ...

勉強になります。たむりんありがとう。



5年前にみなとみらいホールのオルガニスト・インターンシップ研修生として、

このホールに1年間在籍した。

演奏はもちろん、ホール公演の企画、宣伝、楽器の保守・点検に至るまで

音楽大学では勉強できない、様々なことを学ぶ機会を与えられた。

それまでこんなに大きい規模のホール(このホールの収容人数は2000人!)、

こんなに大きい規模のオルガンに頻繁に触れられる機会なんかなかったので、

1年間ルーシーとじっくり向き合えたことは、かけがえのない財産になっている。

良い楽器から教えられることは本当に計り知れない。


ルーシーのパパ Fisk社のSteaven  Deak

見よ、この笑顔!

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アメリカから私たちのために10匹も生きたロブスターを

担いでやってきてくれたりする。

サンタクロースみたいに。

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これが


こうなる

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築地本願寺で副オルガニストをしています。それからあちこちでオルガンを弾いてい ます。 どういうわけかお寺でオルガンを弾くことになって、こうしてblogを書くことにもなっ て、そのことに自分でもびっくり。その日々の小さいびっくりを拾い集めて書いてい けたらいいな、と思っています。 これまで文章を書いたことも、写真を撮ったこともありませんが、習うより慣れろ、 ということで少しずつ。 たかがblogといえど、書いた文章は読めば読むほど何度でも直したくなります。 毎回なかなか送信ボタンが押せない、自分のもとから手放せないで苦しみます。 ある演奏家が『話したり書いたりすることも表現活動の一環』と話すのを聞いて、な るほど、と思うこのごろです。 好きなこと、もの:無類の猫好きです。ホットヨガ。最近ではホットフラも始めました。 気持ちがいいです。旅。散歩。車の運転も好き。文房具やさん。商店街。海外のスー パーマーケット。長風呂。家のベランダ。先日ダーツデビューをしてかなりおもしろ かったので、またやりたいなぁと。おいしいものを好きな人達と楽しくわいわい食べ ること。時々作ること。

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