駅の売店(1)

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 私がいつも通る駅には、売店が三つあります。
中の一軒は、特にいうほどのことはありませんが、
他の一軒は若い娘さんなのに、いつもブッとふく
れっつらをしていて、代金をわたしても、おつりを
出すときでも、にこりともしなければ「ありがとう」
とも言いません。

 もう一軒は中年のおばさんが坐っています。別
にお世辞を言うわけではありませんが、にこにこ
しているし、マッチ一つだけを買っても「ありがとう
ございます」と言葉づかいも丁寧です。
 実は、この店が一番不便な場所にあるのですが、
値段が違うわけでもないので、私は特に急ぐとき
以外は足をのばして、そこで週刊紙などを買うこと
にしています。

 よく聞くと、私のほかにも、同じことをしている人
が、ときどきあるようです。ふくれっつらを見ると、
こちらも腹が立ってくるし、逆に、にこにこと愛想の
よい顔を見ると、こちらも何となく楽しくなってくる
からです。
 これが自然な人情というものでしょう。

(豊原大成 『知っておきたい浄土真宗の行事と仏事』 自照社出版,2008年 より)

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