まっすぐに(3)

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 さて、基本という点では、音楽も同様なこと
が言えるのではないでしょうか。

 音楽は、これも声やさまざまな種類の楽器の、
いろんな高さ、長さ、強さの音の組合せによっ
て成り立ちます。これらがどう組み合わされ、
表現されるかによって、その音楽の優劣、巧稚
が決まるのですが、その複雑な表現の前に、
より大切なことは、定められた一つの音の高さ
を、それだけ正しく、まっすぐに続けて出せる
かということでしょう。

 たとえば"ド"の音を出すべきところ"レ"
が出たり、"ラ"を出しているつもりがいつの
間にか"ソ"に下ったりしては、決して立派な
音楽にならない。最初に決められた音を正しく
続けることは、音楽の生命の問題なのです。

 そして書でも音楽でも、文章でも絵でも、
つまりあらゆる芸術に忘れてはならないのは
"気品"でしょう。

(豊原大成 『心の風景 Ⅲ』 自照社出版 2006年)

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