ちょうど、美術館から出て、広い路を鍵の
手に曲がった所の会館で、何十もの古書店が
出店している、かなり大規模な古本市が催さ
れていて、足が自然と、その中に吸いこまれ
ました。入ってみると、さすが京都。仏教書
がずいぶんたくさん並んでおり、ついついその
何冊かを買い求めました。
ところが、私の買った古本の中に、奇妙な
一部が入っていたのです。和綴の木版刷り5冊、
署名は表の題上に『浄土真宗 十住毘婆沙論』
とあり、もとはかなりの勉強家の持ち物だった
らしく、たび重なる披読のためか、紙も相当く
たびれています。また、特に最初の二冊ほどは、
一面に朱点が施され、所どころに見出しのため
の書き込みまでが、欄外に墨筆でなされており、
そのうちの一冊にはもとの持ち主の名前まで
墨書されていたのです。
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