譲り合う(下)

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 ところが先日、こんなことがあった。

 折しも御本山での会議のため宿泊中のホテル
から外出しようとした時、玄関に大型バスが
到着した。
 透明ガラスのドアーの向こうから、白人の
団体宿泊客がドッと入ってくる。足を踏み出
そうとしたが、丁度大きなおばさんが荷物を
抱えて入ってきたので、ちょっと立ち止まって、
道を譲った。多分、夫婦だろう、続いて男性
がやって来たので、なおも立ち止まっていた
が、彼は、入って来ない。そしてドアーの外
から、こちらを見ているようなので、

「あ、これは、奥さんに道を譲ってくれた私に、
"どうぞ、お先に"ということなのだ」な、

と思って、片手を挙げて会釈しながら、そして
お互いに、目と目で微笑みながら、私が先に
通った。

 至極、後味の好い一瞬だった。

 電車内なので、隣の空席に坐ろうとして、
ちょっと小腰をかがめてくれる相客(ほとんど
が中年以上)に出くわすと。ほっとするが、
日本中、いや世界中、こんな社会になったら、
さぞ楽しいだろう。

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