車窓から

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歳末の一日、東京の朝は風が冷たかったが、空は美しく晴れていました。
 用務が終って丁度正午発の「のぞみ」に乗りましたが、「小田原」を過ぎた頃から、空いていた北側の席に移ると、やがて丹那トンネルを抜け、「新富士駅」のあたりで、右側中腹の宝永山もふくめて、殆んど視野一杯と言ってよい、中程から上、満面美しく雪化粧をした富士山の姿を眺めることができました。
 実を申しますと、3月末に東京・築地に着任以来、月数回、関西との往還だったのですが、移動が殆んど夕刻以後だったこともあり、この9ヶ月で、「衣の裾を遠く引く」富士のお山を楽しめたのは初めてでした。
 そのあたりから4~50分で名古屋、そして木曽川、「岐阜羽島」、長良川を過ぎ、関ヶ原にさしかかった頃から、空には雲が出、山々が淡く雪化粧をしているなと思っていたら、あっと言う間に、田も畑も村々も一面真白。それが「米原」を過ぎて「大津」のちょっと手前まで続き、所々で雪が横なぐり、車窓にも滴が垂れていました。
 私は寒いのが嫌いで、文字通り避寒のために、冬期には度々インドをはじめ南国の旅をしてきました。併し、こうして、まさに束の間ですが、移り変って行く雪景色を車窓から眺めるのは何とも言えず楽しく、この美しい日本に、美しい心の人たちが満ち満ちたらと願わずには居れませんでした。
 列車は定刻通り再び晴れ上った京都駅に滑りこみ、会期あと2日になっていた、京都大学総合博物館での「シルクロード発掘70年-雲岡石窟からガンダーラまで」を見学し、ほんのちょっぴりですが私も体験した50年昔を想起していました。

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