展覧会

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 知り合いのお寺さんの坊守さん(奥様)で、折おりの展覧会に出品される腕前の持ち主が、水墨画もふくめて2~3人おられます。そのお一人から「東京、青山の国立美術館で、会の作品展に出展しています。」との御案内をいただき、坊守さんと絵とにはどんな関係があるのかななどと考えながら、何とか時間がやりくり出来たので、閉館前の2時間たらず、見学してまいりました。

 入館前は2~300点ぐらいかなと思い、御本人のだけでも拝見して、というくらいに考えていたのですが、作品はどれもこれも畳1枚以上、中には2畳分は 充分ある大作で、ついつい1000点余りを、かけ足ですが、全部見せていただきました。 大多数が油絵ですが、水彩画もあり、風景、人物、静物そのほか何 気ない光景、風物など、内容的にもバラエティーに富んでいます。
 風景では流石にヴェニスなど、西洋の都市、街路、建物や山村の鳥瞰図が多く、エジプトのアブシンベル神殿のほとんど同じ構図のものが2枚、全く離れた場 所にあったり、カンボジアのアンコールワットの朝、アフガニスタン・バーミヤンの破壊される以前の大石仏、タイ・アユタヤの古寺、インド・アジャンター第 一窟蓮華手菩薩像の壁画のデフォルメ...。日本では五重塔など京都、奈良のお寺が多く、臼杵の石仏かと思われるものも何点か。
 海辺の古い大きな蘇鉄、幹が瘤だらけで樹齢千年とかの桜、花一輪一輪に入魂したかのような満開の巨桜(...花見が出来なかった代わりに、ここで...)と思う ような作品があったり、どれもこれも被写の実物が見たくなるような絵ばかりでした。また、出品予定中に亡くなられた方々の作品には、故人の略歴と遺影が添 えられており、主催者側の配慮がしのばれました。
 カタログなどが有ればと思って立ち寄った出口の傍らの売店で絵葉書や手札型ぐらいの大きさの作品のカラー写真が200点ぐらい並べてあり、知人のが無い かと探したのですが、えらいもので、あれだけ沢山、急いで見たのに、その写真一枚一枚の原画を、ちゃんと憶えているのです。それだけの力を、一つ一つの作 品が発揮しているということなのでしょう。
 
 それにしても、このような作品を一点仕上げるのに、どれ程の日数を要するのか。
 多分、それぞれ数ヶ月はかかると思うのですが、その間の御苦心、御苦労もさることながら、これら一枚の絵に心を集中できるのは何と仕合せな方々だろうなどとも考えていました。
 打ち込める趣味(以上でしょうが)なり目標なりを持つのは大変なことですね。それがその人にどれほど大きな力を与えることでしょう。
 そして、どんな対象にも真剣に取り組む、熱意、いやむしろ目標に対する敬虔さ、それが、書にしろ絵画や彫刻、詩、文、話法、歌や踊りなどの場合でも、その芸術に言い知れぬ品格を与えることになるのではないか。私はそんなふうに考えさせられました。
 なお、受付そのほか係の人(会員と思われます)は、腰の低い礼儀正しい方々ばかりで、外に出てからも、その姿が折からの春風のように、快く、心に残りました。

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