親の背を見て

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本願寺築地別院(通称、築地本願寺)は、本堂の背後に職員のための集合住宅があり、独身者も居ますが、職員の多くは家族同伴で入居しています。
 但し家族同伴者の場合、その年齢層にもよると思いますが、子供さんたちは、ほぼ未就学児で、中には乳幼児もいます。日曜日など、空き地で、あるいは建物の階段などで、数人が仲良く遊んでいるのを見かけますし、平日でも、幼稚園などから帰って来てからでしょう、夕刻近く、若いお母さんたちも混って、大勢で遊んでいます。

 今や我が国は、大人でも挨拶しない、あるいは出来ない、歎かわしい時代になりつつありますが、通りかかると、「今日は!」などと挨拶してくれるし、実に可愛いものです。
 ところが、先日、夕刻近く、4~5人で遊んでいるところを、「やあ」と手をあげて通りすぎ、住宅の階段に片足をかけようとした時、後から可愛い声が飛んできました。
 「ご輪番さま。パパがいつもお世話になっております。」
  「えっ!」と思ってふりかえり、よくよく見ると、子どもたちの中に、毎日見ている職員W君をそっくりそのまま30年余りバックして縮小したような顔が、に こにこ笑いながら細い眼で私を見つめていました。こちらも思わず笑みがこぼれ、手をあげながら階段を上ったのですが、翌日W君にその話をすると、
 「ええっ、そんなことを申しましたか? "いつも"なんて申しましたか?」
 とのことでした。
 だから、これは坊やがお母さんと一緒に、その辺で遊んでいるとき、お母さんが私に声をかける。それを聞いていて、坊やも真似をしたのでしょう。しかし、 もしかしたら、お母さんは "いつも" とは言っていなかったのかも知れません。いや、坊やは初めてだから、それまでの分も合わせて"いつも"と言ったとしたら、それは期せずして、実に巧みな語 法、表現だと思います。
 それにしても、「子は親の背を見て育つ」とは、よく言ったものです。子供たちはママゴトをしたり、かけっこをしたり、とっ組み合いをしたりしながらお互いが鍛え合い、それだけでなく、親の姿を見て、長い将来に役立つ、いろんなことを学んでゆくのですね。

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