発熱しない方法

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 4月の初旬、Y君と私は、ほぼ12時間、同席していました。
 共にかつて勤務したことのある大阪・北御堂(本願寺津村別院)に納骨壇増設工事完了のお祝いがあり、それに招待されたのです。
 朝9時半ごろ、別院で合流して出席、少し早目に夕食も大阪ですませ、「のぞみ」で隣同士、並んで東京まで帰ってきました。それぞれ2階と3階の宿舎に入ったのは9時半頃だったと思います。
 ところが翌日、本堂での朝の勤行にも、事務所での朝礼にも、Y君は姿を見せない。前日に引き続き、今日もどこかへ出張でもしたのかなと思っていたら、「発熱しているので、病院へ行きたい」との連絡が来ました。
 「解熱剤でも注射してもらったら、すぐ良くなるさ」などと言っていたのですが、結局Y君はそれから4日間、39~40度ほどの熱が出て、大変だったそうです。但し新型インフルエンザではなく、旧式(?)だったそうですが。
 それにしても、12時間も一緒、殊に新大阪-東京間、2時間30数分、隣同士だった私は、発熱など全く無かった。従って私が彼にインフルを移したのでもなく、彼の潜在インフルも私には移らなかった。ただ、勤行の際、少し咽喉がかすれたような感じが
その後、数日間はありました。しかし、平常でもそれはよくあることで、特別に風邪などのせいとは言えないと思います。
 なお、お経の際の声ですが、少しでも風邪をひいている時は、会話の際は感じない咽喉の変調が、すぐわかるのです。これは歌唱などの場合も同じかも知れませんが、私の場合、お経の発声と歌唱の発声とは、また少し違うようです。ただ、いずれにしても、風邪などが、ひどくならないうちに感知できる。これも読経の功徳の一つかも知れませんね。
 Y君の発熱以来、しばらくの間、TVなどで屡々聴いたのは、「新型インフルは、老人はかかり難く、若い人は感染し易い」ということでした。"後期高齢者"の私など、かかりたくてもかからないのかも知れませんが、Y君だって、昭和31年生まれの53歳。れっきとした中年です。「若い人」とは言えないでしょう。
 但し、私の場合、弟の1人が内科医で、毎年、11月から12月の交、インフルの予防注射を打ちに来てくれる。今回も、弟の注射が効いていたのかも知れません。
 それにしても、もうここ2~30年、私は高熱が出たことが無い。従って私の身辺には体温計もありません。いや、体温計というものを、全く忘れていました。お蔭さまというほか無いのですが、高熱不発にはそれなりの理由があると思うのです。

 私は幼い時、大切にされすぎて、冬など殊に厚着で、身体はむしろ弱い方でした。小学校の5~6年生の頃、呼吸器官の強化のためにカルシウムの注射を100本打つために通院しなさいと言われ、隣の尼崎市の病院へ、週に2~3度の割で通ったことがあります。尤も、2~30本打ったころには体調が良くなり、通院をさぼり始め、結局、100本は達成しなかったのですが。
 まあそんなことで、風邪には敏感な方なのです。そんな私ですから、TVで以前、屡々見かけた「クシャミ3回、○○3錠」というコマーシャルは、今も忠実に実行しています。また部屋を温かくし、布団の中でも寝巻がグッショリ濡れるほど汗をかくことにしています。そのため寝巻はいつも予備を2枚用意しています。発汗→下熱と信じて実行しているわけです。
 そして、絶対に寝込んではならない時には、特効薬を用います。それが「牛(ご)黄(おう)」です。牛黄とは、200~300頭の牛に1頭の腸、肝、胆などに生じる一種の結石だそうですが、それが発生すると牛は死ぬ。それを解体したとき取り出して、乾燥させると、黄茶色の物体になる。大きなものはピンポン球ぐらいですが、そんなに大きなものは、滅多にお目にかかれません。非常に脆く、漢方薬店で見かけるものも、殆んどが細かい粉抹です。しかし、これだと、不純物混入だって有るかも知れない。だから私は、まだ粉になっていない塊を買います。値段はここ20年くらい不変で1グラム5000円。現在は主として南米から仕入れているそうです。
 なお、麝香(じやこう)などと同様、漢方の高価薬の一種なので、例えば六神丸などにも極く微量、使用されています。
 小さなカプセルに入れてどこへでも持ち歩き、絶対に発熱してはならない時、これを耳かきに1杯程度、服用することにしていますが、次のような想い出もあります。
 時は昭和22年7月、私たちは甲子園を目指して、連日、県大会を戦っていました。球場は、今は無くなった西宮球場。私の寺からは1キロほどの距離です。
 当時、父は内科医を兼業していました。数え40歳。まあ元気な盛りだったと思いますが、午前中の宅診のあと、午後は自転車で往診。ひとしきり往診を終えて、そのまま球場へ。そして抽選の結果、その都度、一日の最終戦を戦うことになっていた私たちの試合の中途に内野スタンドに飛びこむ。するとその目の前で私が、ポコンとヒットを打つのだそうです。
 しかし流石に疲労が重なったのが、日射病(熱中症)にかかったのか、優勝戦の当日、39~40度の高熱を発してしまいました。
 8-7で勝つことは勝ったが、ノーヒットで帰宅したら、父は寝室の布団の中でうなっています。母も祖母も、お手伝いさんたちも、心配そうに、父をのぞきこんでいます。
 しかし幸いなことに、高熱は一夜で去ったのです。
 祖母の話、「牛黄を沢山飲ませた。」
 高熱のためか身体を痛がるので、敷布団を3枚敷いていたそうですが、汗はその3枚を貫通して、畳まで湿らせたそうです。
 牛黄→発汗→高熱退散の図式が、私の頭にこびりつきました。
 風邪(インフルも含めて)は万病のもと。夏風邪にも御用心ください。

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