育ち

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 去る、8月29日(土)、戦中から戦後にかけて、その鋭利なる頭脳をもって大きな足跡を残したS氏ならびに令夫人の三回忌法要が、築地別院和田堀廟所で行われ、導師として出勤しました。
 法要そのものは特別のことは無かったと思いますが、そのあと会館で、参拝者7~80名の方がたとご一緒にお斎の御接待をいただきました。
 私にとって財界は、まあ御縁のうすい世界ですが、嬉しいことに、旧制中学時代、一緒に野球をしたピッチャーのI君と、会社で殆んど同期だった方がたが居られたり、すぐお隣の中学校に通っていたという方も居られて、世の中は狭いもの、ご縁が実に複雑にからんでいることなどを、あらためて感じました。
 また、御主人の仕事の関係もあって、九州遙か南方の屋久島にお住居の孫娘が居られるとのことで、私も15~6年前、所用で半日だけですが、行ったことがあると申し上げると、その孫娘さんが接待に来て下さり、話題が弾みました。
 そんな中、S氏の曾孫に当るという坊ちゃんがそばに来て下さいました。ずっと以前に私が出版した『おしゃかさま』という絵本を読んだと言われるのです。慶應幼稚舎(通常の小学校に相当)の3年生だそうです。
 身体は必ずしも大柄とは言えず、これも曾祖父さん譲りかなと思いましたが、日頃の躾が余程いいのでしょう、姿勢を正して、その応答の適確なこと。
 「学年は30余名のクラス4つ。勉強は好き。スポーツはテニスとゴルフ。但しゴルフは今は練習場の段階」など、きちんとした言葉使いで話してくれます。そして、将来は?と聞くと「弁護士」。これはお父上のお仕事を嗣ぐことを意味します。
 「弁護士は六法全書その他、一ぱい勉強しなければならない。大へんですね」というと、「はい」との返事。「もう、御馳走、ぜんぶ食べたの?」と尋ねると、「まだ××が残っています。」「それじゃ、それを済ませていらっしゃい」ということで、私の傍らを離れたのですが、しばらくして、またやって来た。
 「さて、次は、どんな話をしようか」と思っていた矢先に、中締めの御挨拶があり、坊ちゃんには「また別の本を送りましょう」と、再会を約して別れました。
 それにしても翔太郎君("正太郎"?とたずねたら、羊の横に羽を書きますと言って、父上の名刺に名前を書いて持ってきてくれました)、将来が楽しみです。こんな、きちんと育てられた子供さんばかりだと、日本の将来も、さぞ明るいことでしょう。

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