悪ふざけ

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  小学校1年生の時のことでした。
 放課後、しばらく校庭で遊んでいて、もう家に帰ろうと思い、教室に置いてあったランドセルを取りに行こうとしました。
 運動場側から木造の校舎に入るには、コの字形の校舎の左翼に二つ、中央に一つ、右翼に三つ階段があります。それぞれ5~6段の石段があり、私たちの教室は、その最左翼の石段を上るのです。
 私がその石段のところまで走って行った時、階段の上から3年生の女の子が一人、降りてきました。名前はもともと知りませんでしたが、彼女は小柄で、クラスでも一番小さな部類だったと思います。
 ランドセルをかけ、何かを手に持ち、そうそう、白い広縁の帽子を被っていましたから、当時、8月1ヶ月の夏休みの前か後だった筈です。
 丁度彼女が階段を降りきり、地面に足をつけた時、私は階段の下に到着しました。
 そして、彼女を避けるか待つかすればよかったのですが、別に全く悪気などなく、ただ"ちょっと驚かせてやろう"ぐらいの気持ちで、とんと彼女に体当たりしたのです。
 すると、2年下でも私の方が身体が大きいし、不意をつかれたからでしょう、彼女は階段に尻餅をつき、"わっ"と大声で泣き出しました。
 私もびっくりしたのですが、それ以後、何か悪ふざけしようなど思った時、不思議に、あの時の彼女の顔が浮んで来て、やめてしまいます。全く予期しない、どんな重大な結果が生じるか知れないからです。
 ちょっと中低くで、丸顔の、色の白い女の子でした。
                                      ○
 そう言えば同じ頃、空き地だった寺の横の砂地を、直径30センチ、深さも30センチほど掘り、上に新聞紙の被せて砂を少しかけ、まあ陷し穴を作り、すぐ下の弟をつれてきて、その数メートル手前から、目をつむって歩かせました。大人しく、言われた通りに歩いて行った彼は、忽ち穴に落ち、泣き出したので、これにもビックリしました。
 あれから70年、ここ1~2年前、弟にその事を話したところ、何と彼も憶えていたようです。

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