横綱

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  子供の頃、強い強い雷電為右ヱ門(1767-1825)というお相撲さんのことを読みました。
 両脇に差しこまれた相手力士を外から貫拔きで締めつけて二の腕を折ったのと、張手で相手力士の頬を骨折させたのとで、共に封じ手になったほどでした。16年間も大関の地位を守り、その間、32場所中、負けたのは10回だけだったそうですが、遂に横綱は贈られませんでした。
 雷電関の師が初代横綱、谷風(梶之助1750-1795)です。生涯で44場所中、258勝14敗(勝率約9割5分)、つまり当時春秋2場所、1場所10日間として、黒星は2場所(1年)で一つなのです。
 また、63連勝の記録をつくり、これは昭和の名横綱双葉山の67連勝に次ぐものではないでしょうか。流石、雷電関の先生だけあります。
 しかし谷風は、強いだけではありませんでした。人柄が素晴しく、人びとから尊敬されていました。彼が江戸の街を行くと、大勢が子供をつれてやってきたそうです。横綱に跨いでもらったら、子供たちが丈夫で賢こく育つとの噂が広まっていたからです。
 横綱は、その形からも容易に解るように、注連縄、聖域(神様)のしるしだったのです。
 昔は良き時代でした。

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